分離プロセス 吸収


【問題】

(「基礎化学製図」例題4.2)

塔径0.75 mのラヒシリング充填塔中で、 2 vol%  ( y1=0.02 )の SO2を含む廃ガスを水(x2 =0 ) で洗浄して、廃ガス中のSO2 濃度を 0.1 vol% ( y2=0.001 )にしたい。処理廃ガスの流量は500 m3/h とする。SO2を吸収する水流量を最小液流量LminCL=2.2 倍とした場合の充填塔高さを計算する。この,充填塔の物質移動容量係数 kya,kxa は各々 309 kmol/(m3・h) , 5468 kmol/(m3・h) とする。温度 293 K,圧力101.3kPaで操作する。

なお温度293 KにおけるSO2/水の平衡関係はガス、水中のSO2モル分率を y, x として、下表のようである。(「化学工学通論T」p. )×102

y×102 0.158 0.422 1.12 1.86 3.44 5.13 7.76 12.1 21.2 44.2
x×102 0.0141 0.0282 0.0562 0.0843 0.141 0.196 0.281 0.420 0.698 1.39

計算のためこれを定式化すると、
一次式では y = mx  (m = 26)
多項式では である。(下図)

【解】塔断面積当りガス流量を G [kmol/(m2・h)]、塔断面積当り吸収液(水)流量を L [kmol/(m2・h)]とする。簡単のため G,L は一定として取り扱う。塔断面積は S = 0.442m2 なので、
  G = (500 m3/h)×(273/293)/22.4/0.442  = 47.0 kmol/h 。
最小液流量 L min は、y1=0.02,x1*=y1/m =0.000769より、次のようになる。
  G (y1-y2)= Lmin (x1*-x2)
すなわち、Lmin= 1161 kmol/(m2・h)。よって液流量L は, L =Lmin×CL =2554 kmol/(m2・h)。

このとき塔を出る水中のSO2濃度x1は、塔頂塔底間物質収支:
  G (y1-y2)= L (x1-x2)
より得られる。 (ただし、x2 =0) すなわち x1= 0.00035。

塔内位置 zで変化する4つの量,気相中SO2モル分率 x ,液相中SO2モル分率 y, 界面濃度 yi, xi,は,塔の微小高さdzにおける物質収支:

と、気液界面における平衡関係:

の、連立常微分方程式であらわせる。これをx, y の初期値x1, y2 から始めて積分し、x =0, y =0.001 となったときの z が求める塔高さとなる。

また、平衡関係に y = mx  を用いれば、

と簡単化される。


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