計算できる化学工学資料 終末速度‐雨滴の降る速さは?−

 

空気中を雨滴が落下する,液体中を固体粒子が沈降する, および 液体中を気泡が上昇するとき,時間がたつとその速度が一定になる。これを終末速度terminal velocity という。

雨の降る速度
(空気中の液滴の落下)

tv01.gif (33492 バイト)

液中の
粒子の沈降速度

径が mm の球が自由落下するときの終末速度 vt を求める。
ただし、粒子の密度 ρp = kg/m3 (水:1000, 石灰石: 2650) 、
流体の密度 ρ = kg/m3 (水:1000, 空気:1.2) 、
流体の粘性係数 μ= Pa・s (水:0.001, 空気: 0.000018 (20℃))とする。


   (粒子径Dp をm単位にしておく。Dp = m)

【答】 終末速度vt = m/s 。このときのレイノルズ数 Rep =CR =

【例】雨滴の降る速度

【説明】 流体中の粒子運動に関するレイノルズ数Rep  は、流体と粒子の相対速度ur を代表速度に、粒子径Dpを代表長さにとった次式で定義される。

流体中の物体が流体と相対運動をする場合、物体は流体の粘性によって流れの方向に抵抗力Rf [N](効力 drag force)を受ける。流体密度ρf の流速u の流れ中に固定された直径Dpの球形粒子については、

であらわせる。(πDp2/4)は球の投影面積を表わし、(ρf u 2/2)は流体の運動エネルギーの代表量である。CR が抵抗係数(drag coefficient)という無次元数であり、これがRe 数の関数である。(下図およびこれを定式化したのが下の CR= の式)

tv02.gif (8596 バイト)

静止流体中の質量m [kg]の球形粒子が重力(重力加速度g =9.807 m/s2)により速度v で運動(沈降)するとき、粒子の運動方程式((質量)×(加速度)=(力))は次式となる。

ここで右辺の力の項はそれぞれ重力、浮力、抵抗力を表わす。これはtv98.gif (1097 バイト) と抵抗力の定義式より、

となる。この式をみてわかることは、 が正であれば、時間が経過するにつれて流体抵抗をあらわす右辺第2項が大きくなり、第1項(重力と浮力の差)に近づく。両者が等しくなると加速度は0となり、流体中の球は一定速度で等速運動をするようになる。この速度vt を終末速度(terminal velocity)または終末沈降速度(terminal settling veocity)といい、上式を0と置くことにより次式となる。

よって終末速度vt を求めることは、未知数がひとつ (vt  )の非線形方程式:

tv03.gif (3123 バイト)

を解く問題となる。ここではSteffensenの反復法で解を求めた。反復回数


inserted by FC2 system