プロセス流体工学 |
はじめに
流体力学の進展 富田幸雄「流体力学序説」より
アルキメデス Archimedes (B.C. 287-212) 浮力の法則の発見
パスカルPascal (1623-1662) パスカルの原理
ニュートン Newton (1642-1727) 流体の粘性に関するニュートン法則
ベルヌイ Bernoulli (1700-1783) 流体の運動を扱う科学の一分野を流体力学hydrodynamicsと名づける。ベルヌイ式。
オイラー Euler (1707-1783) 流体圧なる概念により、理想流体の運動方程式を誘導し、基礎ずける。流体力学の始祖と呼ばれている。
理想流体(粘性なし)に関する数学的な理論の進展 ダランベール d'Alembert (1717-1783), ラグランジェ Lagrange (1736-1813), コーシー Cauchy (1789-1857), ヘルムホルツ Helmholtz (1821-1894), キルヒホッフ Kirchhoff (1824-1887), ケルビン Kelvin (1824-1907), レーリー Rayleigh (1842-1919), ジュコフスキー Joukowski (1847-1921)
水力学 hydraulics の進展(実用に対して無力であった純数学的な流体力学とは別に、多くの実験を基礎とした。しかし、統一的な理論的基礎が不足。) ハーゲン Haugen (1797-1884), ダルシー Darcy (1803-1858), ワイスバッハ Weisbach (1806-1871), バザン Bazin (1829-1917), ブシネスク Boussinesq (1842-1929)
ナビエ Navier (1785-1836), ストークス Stokes (1819-1903) ニュートンの粘性法則を運動方程式に導入した、粘性流体力学の基礎方程式の確立
粘性流体の実験的研究 ハーゲンHagenの層流・乱流の管摩擦損失 ポアズイユ Poiseuille (1799-1869)の血管中の血液流れの考察に端を発した毛細管内流れの研究
レイノルズ Reynolds (1842-1912) の層流/乱流遷移とレイノルズ数
ストークス Stokesの粘性流体中の球の抵抗に関するStokesの法則
プラントル Prandtl (1875-1953) の境界層理論(1904)
乱流理論の進展 Prandtlの混合長理論(1925) テーラー Taylorの乱流の統計理論(1935)
航空工学、原子力工学の発展にともなう高速気体力学(Mach数)、電磁流体力学の発展
化学工学分野における非ニュートン流体力学(レオロジー)の発展
そして近年の数値流体工学の発展へと続く
参考とした教科書
伊藤四郎 「化学技術者のための流体工学」
科学技術社(1972)
化学工学分野では数少ない流体工学教科書。先生の人柄そのままに厳密な記述。一般には高度すぎるかもしれない。私は先生直々の講義を受けたがやはり難解であった。その劣等生(「操作論」75点)が流体工学の講義を持つことになるとは・・・。
疋田晴夫「化学工学通論T」朝倉書店(1982)
標準的な化学工学全分野をカバーする教科書であるが、流体工学部分も必要十分な事項が明快に記述されている。
化学工学協会編「現代の化学工学
T、U」朝倉書店(1988)
日本の化学工学のレベルを集大成したような専門書。各項著者の気合が伝わる。流体工学分野も広い範囲にわたり詳述されている。
L. E. Sisson and D. R. Pitts," Elements of
Transport Phenomena", McGraw-Hill(1972)
やはり記述の厳密さという面では「原書」にはかなわない?。
H. Schlichting," Boundary-Layer
Theory", McGraw-Hill(1979)
流体力学の「聖書」。第二次大戦下のドイツで当時の流体力学の集大成がなされた。(V2ロケットなどの最新兵器の基礎であったか?)私はこの教科書による講義が初めておこなわれたというBraunschweigの航空研究所を見学して感激!
富田幸雄「流体力学序説」養賢堂(1971)
富田先生の偉さがわかる名著。私も先生の講義(「流体機械」)を受けたので、弟子のつもり。
日野幹雄「流体力学」朝倉書店(1992)
土木分野からの流体工学教科書。特に波、乱流構造、乱流拡散の記述に特色があるが、基礎的な部分もひじょうに明快・簡潔に記述されており、分野を問わずイチ押しの教科書である。私は修士のとき遠く緑が丘まで通って日野先生の講義(「流体汚染」)を受講したことが自慢。(難しかった!)
大橋秀雄「標準機械工学講座
流体工学(1)」コロナ社(1982)
高度な内容をわかりやすく記述した機械工学分野の標準的教科書。
生井・井上「機械工学基礎講座 粘性流体の力学」理工学社(1978)
森田泰司「機械計算法シリーズ
流体の力学計算法」東京電気大学出版局(1996)
工夫された演習例題が多数。ここでもいくつか使わせていただきました。
石綿良三「パソコンで学ぶ流体力学」森北出版(1993)
数式の導出を追うことではなく、式の物理的意味をビジュアルに示すことに力点をおいている。流体力学の学習は近くパソコン支援での本書のような形式になるのでは。
Web上の流体工学コンテンツ
EMANNの物理学/流体力学
主に言語とシステム開発に関して/流体力学の講義ノート
福森氏の有限要素法流体工学Web教科書
日本流体力学会 -Japan Society of Fluid Mechanics-
東北大学 大宮先生の数値流体力学大全