膜分離工学 精密濾過
濾過は濾紙を使って、水から固体粒子を取り除く一般的な操作であるが、膜分離法としての精密濾過法は、精密濾過膜すなわちメンブレンフィルターを用いる濾過を指す。精密濾過膜は普通の濾紙と限外濾過膜の中間の細孔径をもち、0.1 〜10 μmの粒子を分離できる。また濾紙はその内部に粒子を捕らえるが、精密濾過膜はその表面で粒子を捕らえるという点も特徴である。このため精密濾過膜は膜表面の堆積層(ファウリング層)を定期的に洗浄することにより、長期間繰り返し使用することが可能である。
精密濾過法でも普通の濾過と同様のデッドエンド濾過がおこなわれる。さらに、クロスフロー濾過方式を用いることで長期間の連続処理ができる。
精密濾過法は戦争中に飲み水中の細菌数を調べる方法として開発された。現在では大量生産のカートリッジ式メンブランフィルターにより手軽に使用することができる。工業分野では水処理一般に、食品分野ではジュースの清澄化、お酒の無菌化に用いられている。最近では浄水処理への適用が注目され、精密濾過プロセスが浄水場に大規模に導入されようとしている。
精密濾過法の応用例 |
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水処理分野 |
浄水 |
工業分野 |
原子力発電所の冷却水処理 |
食品分野 |
生ビール、ジュースの清澄化 |
製薬・医療分野 |
血漿分離 |