膜プロセス解析法 浸透圧

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伊東研


逆浸透法・限外濾過法では溶液および膜表面ケーク層での溶質の浸透圧が透過流束を支配する。図に塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、ショ糖の各水溶液の浸透圧を示す。濃度が薄くても、塩類の浸透圧はメガパスカルすなわち数十気圧に達する。3.5%の塩を含む海水の浸透圧は約2.4メガパスカル、24気圧である。

熱力学的には希薄溶液−純水間の浸透圧Δπはファントホッフの式で与えられる。


CA:溶質のモル濃度、R : 気体定数、T : 温度

これより、浸透圧は溶質の濃度と温度に比例する。また、熱力学的には溶質の種類に関係しない。(束一的性質)

しかし、溶質がタンパク質などの高分子の場合は溶液−純水間の浸透圧はファントホッフの式では表せず、ビリアル形式の相関式[2]:

が使用される。下図の溶質についてのパラメータは次のようである。[2]

また、指数形式の相関式:

も用いられる。図の牛血清アルブミン(BSA)水溶液の場合はa =0.00085, n = 2である。

なお、実際は溶液のpH,塩濃度の影響が大きく、同じBAS水溶液でも下図[5]のように異なる。


2) L.J. Zeman and A.L. Zydney," Microfiltration ans Ultrafiltration," Marcel Dekker, Inc.(1996)
5) V.L. Vilker et al., J. Membrane Sci., vol. 20, pp. 63-77 (1984)


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