Web版 化学プロセス集成
硫黄の回収-クラウスClaus法-

 

原油中には硫黄化合物が含まれその濃度は硫黄分にして平均0.65wt%である。(中東原油は1wt%以上ある。)精油所では原油の蒸留留分毎に脱硫装置をおき, 硫化水素ガスH2Sとして製品中の硫黄分を回収している。製油所各所から発生したH2Sガスから硫黄の単体を回収するのが硫黄回収装置である。 この硫黄回収が2段のクラウスClaus反応によりおこなわれる。

ビデオ資料 出光興産北海道製油所(公開手続中)

第1段はバーナーによる燃焼反応で,主に以下の2つの反応で原料中の1/3のH2SがSO2 になる。(1300-1700 K)
    H2S + (3/2)O2 → SO2 +  H2O ΔHr = -518 kJ/mol
    2H2S + SO2 → (3/2) S2 + 2H2O ΔHr = + 47 kJ/mol

第2段は触媒反応( Claus反応) で,残り2/3のH2SをSO2と反応させ(470 - 620 K),反応ガスを450 Kに冷却することで硫黄単体を得る。
    2H2S + SO2 → (3/8) S8 + 2H2O ΔHr  =-108 kJ/mol
触媒は活性アルミナ坦持触媒や酸化チタン坦持触媒などを使う。反応の転化率は100%ではないので,触媒反応を2,3段繰り返して硫黄回収率を95-97%に上げている。なお,ビデオ映像のプロセスでは3つの触媒反応器が一体化している。

以上の反応を統括した反応は次式
    3H2S + (3/2)O2 → (3/n)Sn + 3H2O ΔHr = -626 kJ/mol
であり,発熱反応である。この総括反応の転化率と温度の関係を下図に示す。


参考資料
M. Sassi, A.K. Gupta: "Sulfur Recovery from Acid Gas Using the Claus Process and High Temperature Air Combustion (HiTAC) Technology," American J. of Enviromental Sciences, 4, 502 (2008).
石油学会編:「石油精製プロセス」,講談社 (1998)


inserted by FC2 system