Web版 化学プロセス集成
バイオエタノール

 

植物原料から作るバイオエタノールはガソリン代替燃料としての普及が期待されている。 日本でも国の補助を受け,多くのバイオエタノール工場が出来ている。ここでは北海道十勝にある国内最大規模の北海道バイオエタノール(株)十勝清水工場を紹介する。

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原料は規格外小麦や米,またはてん菜糖液である。てん菜糖液原料は隣接の製糖工場から供給される。液化工程で原料は粉砕・液化され,糖化酵素を加えて高温で糖化をおこなう。糖化 された原料に酵母を加え,発酵槽に送る。発酵は酵素と酵母が共存する「同時糖化発酵」形式,発酵温度は33℃である。発酵槽は440 kL槽×4基であり,連続的に原料が供給・排出される連続発酵方式を採用している。各槽の滞留時間15 時間,全60時間の発酵時間となる。発酵槽出口でエタノール濃度約10vol%の発酵液(もろみ)となる。

10vol%エタノール濃度の発酵液は,もろみ塔と濃縮塔の2段の蒸留塔で,共沸点 95vol%まで濃縮される。この粗エタノールを膜脱水装置により,蒸気状態で水蒸気を除去して,99.5vol%濃度以上の純エタノールとする。膜装置は親水性ゼオライトの径16 mm×長さ1130 mmの管状膜を4基で1200本備えている。膜モジュールに混合蒸気を供給して,管状膜の内管側を減圧することで水蒸気のみ除去し,膜モジュール出口で純エタノール蒸気を得る。

蒸留工程から出る発酵液残渣(酵母など)は固形分を遠心分離・乾燥して飼料とする。液体成分は嫌気廃水処理槽で処理され,バイオガス(メタン)を生成する。このガスはボイラー燃料となり,全工程の20〜30%のエネルギーを賄っている。

以上のプロセスで1 tonの小麦原料から350 Lのエタノールができる。(米を原料とする場合は450 L,てん菜糖の場合は 100Lである。)エタノール生産量は年間 15,000 kL, 日産 50 kLである。

北海道バイオ燃料地域協議会(オエノンホールディングス(株)苫小牧工場)のプロセス

上記十勝清水の工場とほぼ同規模。(100ton/day の米から50kL/dayの無水エタノール(2 kgの米から1 Lのエタノール))

 

バイオエタノール製造工程図はこちら


国内のバイオエタノール工場リンク

北海道バイオエタノール株式会社
北海道バイオ燃料地域協議会 米から創るバイオエタノール 北海道バイオ燃料地域協議会 - YouTube
イネ原料バイオエタノール地域協議会(新潟) 新潟市プレスツアー(イネ原料バイオエタノール) - YouTube

2014/5/9 農林水産省-「バイオ燃料生産拠点確立事業検証委員会報告書」の公表について


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