Web版 化学プロセス集成 エチレンプラント

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コンビナートと呼ばれる石油化学プラント群は多種類の製品を作るが,そのおおもとの原料はエチレンである。したがって石油化学では,ナフサ(粗製ガソリン)留分を熱分解してエチレンを製造するプロセスが中心となる。このエチレンを年間40万トン生産するエチレン製造設備が日本には15個所ほどもある。

ここでは丸善石油化学千葉工場(千葉県市原市)の第3エチレン製造装置を紹介する。

エチレン製造設備ではナフサを熱分解してエチレン(25-30%),プロピレン(15%)等のオレフィンを含む低分子炭化水素にして,それを各成分に分離する。原料ナフサが希釈水蒸気(原料に対して0.5〜0.9の割合)とともに、バーナーで750-850℃にされた分解炉内の多数の管内を通過する。反応管は直径5cm、長さ20m程度の管である。(触媒は使用していない。)この高温管内を通過する0.3-0.6秒間にナフサの分解反応がおこる。分解炉を出たガスはただちに400-600℃に急冷してそれ以上の分解を防ぐ。さらにリサイクル油を噴霧して冷却する。冷却された分解ガスはガソリン精留塔で重質成分を分離する。次のクエンチタワーでは塔の上部から水を噴霧して水分とガソリン成分(C5-C9)を凝縮分離する。ガスは圧縮機で昇圧して分離工程に送られる。水素が途中の深冷分離器(-160℃、37気圧)で分離される。メタン、エチレン、エタン、プロピレン、プロパンは各々蒸留塔を通過すること順次純成分に分離される。これらの分離は困難なものであり、20気圧程度で各々30-100段以上で高い(60-90 m)蒸留塔を用いる。

エチレン製造プロセスの原料(ナフサ)と生成物の炭素数組成を示す。

参考資料:石油化学工業協会>石油化学コンビナート


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