Web版 化学プロセス集成 廃プラスチックのリサイクル−ガス化処理による原料化−

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家庭ゴミとして出される廃プラスチックの量は全国で年間500万トンにものぼり,そのリサイクル,有効利用が課題です。現在これら廃プラスチックは多くが焼却処理されていますが,より有効な利用が望まれています。

単純な焼却処理は,炭化水素(CnHm)であるプラスチックを空気(酸素)で燃やしてCO2とH2Oに完全酸化するものです。これをその一歩手前のCOとH2に部分酸化することでこれらが化学原料として有効利用できます。

昭和電工川崎事業所の部分酸化法による廃プラスチックガス化プロセスを紹介します。この設備で年間64,000トンの使用済みプラスチックをガス化処理することができます。

廃プラスチックは先ず粒子状に成形されます。これを1段目の低温ガス化炉へ投入します。炉内は温度600-800℃の砂の流動層であり,プラスチックは高温の砂に接触することで分解され,炭化水素やチャー(炭化固形物)が出来ます。塩素を含むプラスチックからは塩化水素も発生します。ゴミに含まれる金属類,固形物は塔の底から排出されます。

 低温ガス化炉から出たガス・蒸気を約1400℃の高温ガス化炉に送入します。ここで酸素と水蒸気を加えて熱分解することで,炭化水素が「部分酸化」され,COとH2に転化します。炉の底部でガスは水により200℃以下に急冷され,固形分がスラグとして回収されます。

次のガス洗浄設備で残存する塩化水素ガスがアルカリで中和されて除去されます。さらにCO転化設備で350℃で水蒸気と反応させてCOをCO2に転化して水素分を増やし,脱硫設備で硫化物を硫黄として回収することで,H2とCO2を成分とする合成ガスとなります。この合成ガスは同工場内のアンモニア合成設備の原料として利用されます。

 


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