Web版 化学プロセス集成 膜による果汁の濃縮

 


果汁は濃縮して体積を減らして保存や輸送されるのが普通である。商品にする際は再度水を加えて原液果汁と同じ濃度にする。これが「濃縮還元ジュース」である。

果汁濃縮には蒸発法や凍結濃縮法など各種あるが,膜による濃縮は風味を損なわない利点がある。ここではトマト果汁を逆浸透法により濃縮するプロセスを紹介する。カゴメ(株)那須工場である。

プロセスは簡単で,搾汁したトマト果汁を逆浸透膜装置に高圧で供給し,水のみを膜透過させて,果汁を濃縮する。逆浸透膜は食塩阻止率が90%以上の管状膜で操作温度は40℃以下,操作圧力は50〜60気圧である。(下記特許記載の条件例)食品特有のシングルパスの連続濃縮(膜モジュールの出口で所定濃度になる)で,約4倍まで濃縮する。

 

 


参考文献 早川喜郎;「野菜・果実加工における膜利用技術」,化学工学,Vol. 69,  No. 3, 129-131 (2005)
特開平8−280364,「トマトジュースの高濃縮方法」


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