Web版 化学プロセス集成
スチレン・ブタジエンゴム

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(取材先:日本ゼオン 川崎工場

生活用品の素材としてプラスチックとならびゴムがたいへん多く使われています。 例えば輪ゴムの素材は天然ゴムです。 天然ゴムは2重結合を2つ持つC5炭化水素のイソプレンが重合したものです。 天然ゴムの構造をまねて,人工的に合成されたものが合成ゴムです。 合成ゴムも二重結合をもつC4からC8炭化水素を重合させて作られます。 合成ゴムにはゴルフボールに使われるブタジエンゴム,ゴム長靴に使われるクロロプレンゴム,自動車タイヤのスチレンブタジエンゴム,やシリコーンゴム,フッ素ゴムがあります。

スチレン・ブタジエンゴムは最も多く使用されている合成ゴムで,自動車のタイヤに多く使われています。   二重結合を持つ炭化水素のブタジエンとスチレンが原料であり,これらを重合させてスチレン・ブタジエンゴムが作られます。

スチレン・ブタジエンゴムの製造工程をしめします。これは溶液重合法というプロセスで,原料調整,重合,凝固,乾燥の工程で製造されています。

先ず反応させるための原料を調整します。C4炭化水素から抽出法によりブタジエンを分離・精製します。このブタジエンとスチレンにリサイクル・精製された溶媒を混合し,触媒を加えて,反応原料を調整します。

原料を重合反応器に入れ,溶媒中で重合反応をおこないます。重合反応の進行に伴い溶液粘度が上昇するので,反応器を直列に連結して連続的に重合をおこないます。出口でのモノマー転化率は90%以上です。

重合溶液はスチームを添加して溶剤と未反応ガスを除去します。重合反応でできたスチレン・ブタジエンゴムが水中で凝固します。

乾燥装置で,水を含むゴムを加熱乾燥します。最後に成形して板状の製品としてスチレン・ブタジエンゴムが出荷されます。合成ゴムはその後,硫黄を加えて架橋し,さらに炭素の粉を混合して,自動車に使われるタイヤとなります。


資料提供:日本ゼオン(株)


資料リンク YouTube 日本の合成ゴム 1960年


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