微分プロセス3 膜分離

本体流れモデルによる分離ユニットの性能の違い

膜モジュールによる脱湿操作を例として微分接触分離ユニット中の本体流れモデルと分離性能の関係を検討する.

【例題】上図のような膜による空気の脱湿操作を考える.分離膜モジュールは膜面積S=24.5cm2,膜厚みl=0.0008cm,水蒸気の透過係数Q1=8.0E-7cm3(STP)・cm/(cm2・s・cmHg), 空気透過係数Q2=2.0E-7 である.
大気圧下で(Ph=76cmHg) 露点 -5+(学籍番号下1桁)℃ の空気を流量Ff [cm3(STP)/s]=1.0 で供給し,透過側をγ=0.1(Pl=7.6cmHg)に減圧して透過させる.

この操作で供給側出口空気の露点を下げる操作を計算する.  

空気の露点dp[℃]と空気中の水蒸気分圧p*[kPa]の関係は次式で与えられる.

供給側の流れに着目してこれをプラグフローとして,供給側流れ中の水蒸気流量F1[cm3(STP)/s]および供給側流れ中の乾燥空気流量F2[cm3(STP)/s] に関する微分方程式は,

である.ここで供給側プラグフローなのでx は供給側流れ中のその位置での水蒸気モル濃度.yが透過側水蒸気モル濃度でこれがモデルにより替わる.

A透過側完全混合モデル では,

B透過側プラグフローモデル では

C透過側十字流れモデル では

となる.

これに @両側完混合モデル を加えた4つのモデルについて出口空気露点の計算結果を比較せよ.モデルによる予測性能の違いについて「推進力 Driving Force」の語を用いて定性的に説明しなさい.

【解】

各モデルでのEQUATRAN-M のテキスト例

@両側完混合モデル

/* 二成分系膜透過 両側完混合"zlw93_1" */
/* 実験条件 */
Ph=76 ; gamma=0.1 ;S=24.5 ;l=0.0008
Ff=1.0
dpin=0 ;A=7.450;B=1885.51;C=244.434;xf=10^(A-B/(C+dpin))/101.3
/* 透過係数 */
Q1=Q2*alpha ;Q2=2e-7 ; alpha=4
/* */
Ff*xf -F1 = S* (Q1*Ph/l)*( xo-gamma*yp)
Ff*(1-xf) -F2 = S* (Q2*Ph/l)*((1-xo)-gamma*(1-yp))
/*output */
Fo=F1 +F2 ;xo=F1/(F1+F2)
Fp=Ff-Fo ; Cut=Fp/Ff ; yp=(Ff*xf-Fo*xo)/Fp ;dpout=B/(A-log10(101.3*xo))-C
output Cut,xf,xo,yp , dpin,dpout

A透過側完全混合モデル 

/* 二成分系膜透過 供給側プラグフローー透過側完全混合"zlw93_2" */
input yp1 (この場合はypを試行する問題となる)
中略
/* 微分方程式 */
-F1' = (Q1*Ph/l)*( x-gamma*y )
-F2' = (Q2*Ph/l)*((1-x)-gamma*(1-y ))
x=F1/(F1+F2) ; y=yp1
INTEGRAL s[0,S] step 0.2
trend F1+F2,x,y step 2
/* 入口条件 */
F1 # Ff*xf
F2 # Ff*(1-xf)
/*output */
Fo=F1 +F2 ;xo=F1/(F1+F2)
Fp=Ff-Fo ; Cut=Fp/Ff ; yp=(Ff*xf-Fo*xo)/Fp ;dpout=B/(A-log10(Ph*xo))-C
output Cut,xf,xo,yp ,yp1,dpin,dpout

B透過側プラグフローモデル 

/* 二成分系膜透過 供給側プラグフローー透過側プラグフローモデル"zlw93_3" */
中略   (Aの yp1 は不要,削除しなさい)
/* 微分方程式 */
-F1' = (Q1*Ph/l)*( x-gamma*y )
-F2' = (Q2*Ph/l)*((1-x)-gamma*(1-y ))
x=F1/(F1+F2) ; y=(Ff*xf-F1 )/(Ff-F1-F2) 注)
INTEGRAL s[0,S] step 0.2
trend F1+F2,x,y step 2
後略

(注:初期の計算は0割りとなるのでエラーがでるがかまわない.気になるひとはここに微量を加える)

C透過側十字流れモデル 

/* 二成分系膜透過 供給側プラグフローー透過側十字流れモデル"zlw93_4" */
中略  
x=F1/(F1+F2) ; y=F1'/(F1'+F2')
後略


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