これまで微分プロセスの本体流れは完全混合とプラグフロー(軸方向混合なし)の両極を考えたが,もちろん現実の流れはこの中間にある.ある程度の軸方向混合のある現実の流れを表わすのに完全混合モデルをもとにしたのが槽列モデル,プラグフローからの偏奇により表わすのが混合拡散モデル(分散モデル)である.
固定層吸着の基礎式は、流速u [m/s]の供給流体中の溶質の物質収支より,液中の溶質濃度y [単位は任意] および吸着層中の吸着された溶質の量q [単位は任意]に関する微分方程式が次式となる.
ε:充填層の空隙率(流体が流れる部分)[-],D:軸方向分散係数[m2/s].
吸着速度は境膜物質移動支配として,
また,平衡関係は
で表わせるとする.
この偏微分方程式を解くためにここでは吸着層をn 区間に区切り,各位置のy,p に各々時間に関する微分方程式をたて,時間方向には連立常微分方程式,位置方向には差分化して解いてみる.すなわち境界以外の点では,
出口の境界条件は慎重に検討しなくてはならないが,ここでは断熱境界条件にならって例のようにしておく.
これを初期条件:
y1=yf(供給液中の吸着質濃度),y2=yf/2
, yi=0 ,pi=0
で積分する.
EQUATRAN-M 記述例:
/*偏微分方程式 固定層吸着 "Pdif_abs.eqs"
*/
local N=10
VAR y(N),q(N),ys(N) y0=0; q0=0 ; yf=1; Z=1 ; dz=Z/(N-1) ;dt=0.05
D=0.0005 ; u =0.05 ; E=0.5
E*y'(2:N-1)=- u*(y(3:N)-y(1:N-2))/(2*dz)..
+D*(y(3:N)-2*y(2:N-1)+y(1:N-2))/dz^2 -(1-E)*q'(2:N-1)
q'(2:N)=ka*(y(2:N)-ys(2:N)) ; ka=0.0001
q(2:N)=K*ys(2:N)^0.5 ; K=2
INTEGRAL t[0,40] step dt
trend y,q step 1
/* 境界条件. */
y(3:N) # y0
y(2) # (y0+yf)/2
q(2:N) # 0
y(1) =yf ; q(1)=K*yf^0.5
E*y'(N) = -u*(y(N)-y(N-1))/dz ..
+D*(2*y(N-1)-2*y(N))/dz^2 -(1-E)*q'(N)
レポート課題
課題1 吸着がない場合について軸方向分散の影響を出口濃度の径時変化でみてみる.(物質移動係数をka =0.0001 にとる.)
課題2 吸着がある場合,破過曲線がどうなるか.